日本造船に復活の兆し? 2021年の新受注量2.1倍、環境対応船がけん引
荷動き増加、「巣ごもり需要」も後押し
日本の新造船受注量が大きく伸びた。日本船舶輸出組合が発表した2021年の新造船契約実績は、前年(2020年)比約2.1倍の1521万総トンだった。隻数は172隻増の318隻。受注量が1500万総トンを超えたのは、NOx(窒素酸化物)3次規制を回避するため駆け込み需要があった2015年以来6年ぶりとなる。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で停滞していた経済活動が再開し、「巣ごもり需要」による海上荷動きの増加も相まって海運市況が好転。人の移動制限などで「停止状態」となっていた新造船商談も再開し、新造船マーケットは回復傾向となっている。
船種別ではバルカーが116隻増の204隻(907万総トン)と全体の6割を占めた。内訳はハンディサイズが56隻(前年同期24隻)、ハンディマックスが64隻(同24隻)、パナマックスが31隻(同14隻)、ポストパナマックスが14隻(同11隻)、ケープサイズが23隻(同10隻)、鉄鉱石運搬船が7隻(同2隻)、チップ船が9隻と各船型で隻数を伸ばした。
貨物船は51隻増の80隻(457万総トン)。このうちコンテナ船が61隻(同26隻)、自動車運搬船が7隻(同2隻)、RORO船が1隻(同1隻)で、さらに2020年は受注が無かった一般貨物船が11隻となっている。
油送船は5隻増の33隻(156万総トン)だった。新船型となるLPG(液化石油ガス)/アンモニア運搬船6隻に加え、LPG船が11隻(同5隻)、アフラマックスタンカーが4隻(同3隻)と隻数を増やした。一方でVLCC(大型原油タンカー)が4隻(同5隻)、プロダクト船が5隻(同8隻)、ケミカル船が3隻(同7隻)とマーケットの低迷を反映し数を減らした。
新造船の建造量を示す通関実績は12%減の994万総トン。隻数は40隻減の212隻。2021年12月末の手持ち工事量は387隻・1871万総トンと、2020年12月末の299隻・1455万総トンに比べ改善した。
日本の造船業はこれまで厳しい状況に置かれていたものの、海運マーケットの好調を背景に船主の建造意欲が戻り、受注量も増加している。一方で鋼材や機材価格が上昇しており、収益面で懸念材料となっている。