電車の「バリアフリー化」もはや待ったなし! 鉄道技術展・大阪で見えた、業界の最重要課題とは
2022年5月に開催された「鉄道技術展・大阪」。その展示内容から見えた鉄道業界にとっての喫緊の課題とは。
三つの技術開発が進む必然性とは
なお(1)の「自動化」は(2)の「効率化」の一例であるが、ここでは事例を紹介するため、便宜上別々に扱った。
(3)は、国土交通省が公共交通のバリアフリー化を推進していることと密接な関係がある。
同省は、2018年からほぼ毎年「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」を改訂しており、鉄道事業者にそれに従うことを求めている。となれば、そのための技術開発が進むのは当然の流れだろう。
それでは「鉄道技術展・大阪」で展示された(1)(2)(3)に関する技術の実例をそれぞれ紹介しよう。
1. 保守作業の自動化

(1)の「保守作業の自動化」を実現する例としては、JR西日本のグループ企業である西日本電気システムとJR西日本が共同開発した「ブラケットハンドリング車」や「電柱ハンドリング車」がある。
「ブラケットハンドリング車」は、線路における架線(トロリ線)を支える部品(可動ブラケット)の交換作業をロボットアームによって機械化・自動化した車両だ。「電柱ハンドリング車」は、線路における電柱の建て替え作業を機械化した車両だ。
どちらも従来、人力やクレーンに頼っていた作業を機械化・自動化したもので、生産性と安全性の向上が実現できるという。
同社の展示ブースでは、可動ブラケットや電柱の交換作業の動画が公開され、熟練を要する作業や危険がともなう作業の多くが機械によって軽減されたことが示された。