「路線バスが来ないんですけど…」 なぜ日本人の「10%強」が移動手段を失いつつあるのか? 暮らしを支える移動インフラの再編

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全国2740か所に拡大し、全人口の1割強に影響する「交通空白」。地域経済を揺るがす深刻な供給不足に対し、政府は最大1億円の補助金で交通の水平分業化やDXを促す。スクールバスなど既存車両の多目的活用や自動運転を軸に、持続可能なモビリティ網と経済基盤の維持を目指す、新たな産業変革の潮流を追う。

全国に広がる交通空白と供給の限界

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 国土交通省の調査によると、公共交通へのアクセスが極めて困難な「交通空白」地区は全国892市区町村の計2740か所に拡大した。対象地域の人口は日本の全人口の1割強にのぼる。前年の2057か所から683か所増え、従来は未然防止の対象だった要モニタリング地区から状況が悪化したケースが相次いでいる。一過性の過疎問題にとどまらず、全国規模の経済課題となっている。背景には人口減少による需要の縮小に加え、路線バスの撤退やタクシードライバー不足といった運ぶ側の衰えがある。

人を運ぶだけの独立した採算モデルでは、労働市場で十分な対価を生み出しにくい。事業縮小の判断が重なり、移動できない地域が面的に広がった。既存の事業枠組みと働き手の限界が同時に表面化している。

 移動手段が失われれば、小売店や医療機関といった生活に欠かせないサービスへのアクセスが断たれる。観光客の足が不足する198地点の観光交通空白を含め、多様な産業の経済基盤に直接影響が及ぶ。モビリティ領域の新たな事業展開は交通産業の枠を超え、周辺産業のサービス継続や地域経済を底上げする起点となる。

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