「路線バスが来ないんですけど…」 なぜ日本人の「10%強」が移動手段を失いつつあるのか? 暮らしを支える移動インフラの再編

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全国2740か所に拡大し、全人口の1割強に影響する「交通空白」。地域経済を揺るがす深刻な供給不足に対し、政府は最大1億円の補助金で交通の水平分業化やDXを促す。スクールバスなど既存車両の多目的活用や自動運転を軸に、持続可能なモビリティ網と経済基盤の維持を目指す、新たな産業変革の潮流を追う。

国交省の資金支援と水平分業への移行

地域交通DX推進タイプ(画像:国土交通省)
地域交通DX推進タイプ(画像:国土交通省)

 この領域は全体をまとめる主体がおらず、国や自治体、交通事業者、新興企業、住民がそれぞれの制約下で動いている。国土交通省は2025~2027年度を集中対策期間に指定し、従来の路線維持を目的とした資金補填から方針を転換した。2027年度中に100件の優良事例を創出するための認定制度を設けている。

 その一環として、2026年6月11日から7月2日にかけて「地域交通DX推進タイプ」の補助金を公募する。上限額を1億円とし、支援対象を官民連携プラットフォームに参加する共同事業体や協議会に限る。自治体や企業単独で体制を保つのが難しい現状を踏まえ、支援の3本柱として共通ID等によるデータ統合、標準APIを用いた配車システムの一元化、標準業務モデルに基づくシステムの導入を打ち出した。

 人口10万人未満の自治体には500万円まで定額(超過分は3分の2)、政令指定都市などには2分の1を補助するなど、地域規模に応じた補助率も設けた。対象経費はシステム開発にとどまらず、キャッシュレス決済導入、事前の効果検証、マニュアル作成や研修費まで広く含む。車両手配から運行までを1社が担う垂直統合型から、システム提供や運行管理を分担する水平分業型への移行を促す考えだ。

 システムが連携すれば、住民の通学・通院や観光客の移動の求めがデータとして集約される。見えにくかった需要が形になることで、民間企業も事業化の見通しが立てやすくなる。他業種と連携し、公共領域特有の安全面や責任分界の課題を乗り越え、地域生活を支える持続可能な事業モデルを作っていくことになる。

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