「路線バスが来ないんですけど…」 なぜ日本人の「10%強」が移動手段を失いつつあるのか? 暮らしを支える移動インフラの再編

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全国2740か所に拡大し、全人口の1割強に影響する「交通空白」。地域経済を揺るがす深刻な供給不足に対し、政府は最大1億円の補助金で交通の水平分業化やDXを促す。スクールバスなど既存車両の多目的活用や自動運転を軸に、持続可能なモビリティ網と経済基盤の維持を目指す、新たな産業変革の潮流を追う。

連携の深さがわける地域経済の将来像

スクールバス(画像:写真AC)
スクールバス(画像:写真AC)

 今後の展開として先行して進むと考えられるのは、既存の送迎車両を中核とした統合型モデルである。スマートフォンでの配車基盤や自動運転がうまく機能すれば、効率的な輸送網が整う。移動の足が保たれることで、医療や小売、観光といった周辺の産業も支えられ、新たな住民や企業を呼び込む持続可能な地域経済につながる。

 他方で、関係者間の調整に時間を要し、ばらばらなサービスが局所的に残るケースもあり得る。国が優良事例を生み出そうとするなかで、話し合いが進む地域と昔ながらの仕組みにとどまる地域との間で企業誘致や投資の呼び込みに差が生まれ、地域ごとの経済格差が広がる懸念が出てくる。

 人手不足の進行が地域の対応力を上回り、移動手段の縮小がそのまま定着してしまう事態も想定しなければならない。全国2740か所で対策が遅れれば、交通空白が日常の風景となり、地域経済の活動領域そのものが縮小してしまう。

 どの道をたどるかは、集中対策期間のなかで自治体と民間企業がどこまで深く協力できるかによって決まる。この問題は地方交通の課題にとどまらず、供給機能、新技術、労働をひとつに結びつける産業構造の変化そのものだ。

 既存車両の多目的利用は、新たな経済基盤が広がっていく過程を示している。これからの焦点はどの技術を選ぶかではなく、誰が運行を担い、誰が資金と責任を引き受けるのかという仕組みの選択に移る。その選択の積み重ねが、それぞれの地域の移動の形と、経済が続いていくかどうかの境目を決めることになる。

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