なぜ日産は英国工場を「中国勢」へ開放するのか? 稼働率「45.5%」の先で動き出した、工場共有という未来

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2025年に稼働率が45.5%へ低迷した日産の英国工場で、中国の奇瑞汽車が委託生産に乗り出す。21%の追加関税に直面する中国勢の現地化の波と、伝統メーカーのアセット有効活用。自社生産という常識を覆す「水平分業」への移行は、自動車産業にどのような地殻変動をもたらすのか。その深層に迫る。

供給網を強靭化する製造受託

日産・英国サンダーランド工場(画像:日産自動車)
日産・英国サンダーランド工場(画像:日産自動車)

 従来、生産工場は製品開発や販売網と並ぶ競争力の源泉だったが、その位置付けが変わりつつある。

 外部企業の活用によって高い操業度を維持することは、アセットの有効性を高める合理的な選択だ。サンダーランド工場は現在でも約6000人の従業員を抱えており、関連企業も含めた周辺地域の雇用規模は3万人に上る。1986年の操業開始以来、長年にわたって築いてきた英国での生産基盤と地域社会との協力関係を維持し、さらに発展させていくために、委託生産の受け入れは実効性の高い経営判断といえる。

 この工場の役割変化は、完成車メーカーの枠組みを超え、地域経済や部品サプライチェーンのあり方にも波及する。日産車に加えて奇瑞車の生産も担うことになれば、地元の部品メーカーは特定の自動車ブランドに依存しない、複数のブランドに対応できる強固な供給網へと変化していく。これにより、地域雇用や自動車産業基盤の安定性が一層高まる。

 今後、過剰な設備能力を融通したいメーカーと、その余力を活用して効率的な販売拡大を目指す企業との間では、さらなる委託生産の増加が予想される。工場は自社ブランドの専用拠点から、広く製造を請け負う製造サービス拠点へと進化していく。日産と奇瑞の協議は、その変化を象徴する事例といえるだろう。

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