なぜホンダ・日産は「電池工場計画」を見直したのか? 経産省が描く「5兆円市場」の次の一手
国内自動車大手のEV電池工場計画見直しが広がる中、経済産業省は2035年に関連売上高を約5兆円へ伸ばす新戦略を出した。中国企業が得意とする大量生産の「数の勝負」から脱し、AIデータセンターやインフラ向け等の高付加価値市場へ。車載技術を武器に、産業の枠を超えて動き出した日本勢の戦い方を追う。
数の勝負から高付加価値の戦い

電池を取り巻くビジネスの舞台が広がる中、データセンターやロボット向けには一気に強い力を生み出せる性能が欠かせない。
世の中の動きにともない、競争の軸は中国企業が得意とする大量生産の「数の勝負」から、仕組み全体の総合力を競う高付加価値の戦いへと移りつつある。日本企業は、長寿命のタフさや電気の急激なアップダウンをいなす制御の細やかさなど、培ってきた品質の高さで勝負する方向へかじを切っている。
国もこうした先の動きを見越して、これまでのEV一辺倒だった方針に新しい成長の種を植え、いくつかの柱を育てていく構えだ。国内で作るための足場を固め、先の技術を生み出す手助けを強めながら、海外との連携も進めていく。現場の目線に立てば、いま起きているのは戦う土俵そのものが移り変わっていくプロセスといえる。
もっとも、これはどちらのやり方が優れているかという話ではない。中国の強みが均一なものを一度にたくさん作る点にあるのに対し、日本の強みは需要に合わせて上質なものを多品種少量でつくる点にある。それぞれの国が持つ工場の仕組みや背景の違いが商売の進め方の違いとして表れており、日本企業は自らの強みが最も生きる場所へ軸足を移し始めている。