なぜホンダ・日産は「電池工場計画」を見直したのか? 経産省が描く「5兆円市場」の次の一手

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国内自動車大手のEV電池工場計画見直しが広がる中、経済産業省は2035年に関連売上高を約5兆円へ伸ばす新戦略を出した。中国企業が得意とする大量生産の「数の勝負」から脱し、AIデータセンターやインフラ向け等の高付加価値市場へ。車載技術を武器に、産業の枠を超えて動き出した日本勢の戦い方を追う。

新領域へ広がる電池の需要

蓄電池の用途別市場規模・成長見込み(画像:経済産業省)
蓄電池の用途別市場規模・成長見込み(画像:経済産業省)

 2026年6月2日、前述のとおり、経済産業省は2022年8月につくった「蓄電池産業戦略」を「蓄電池・電源産業戦略」へと改める方針を出した。環境の変化を受け、成長戦略の枠組みをさらに広げる狙いがある。

 国の見通しでは、世界のリチウムイオン電池市場は2035年以降に2倍以上に膨らむ。大部分を占める車載用や据え置き型への配慮は維持しつつ、今回はAI向けデータセンターやロボットなど新領域に焦点を当てる。生成AIの普及で電力需要が急増する中、一瞬の停電も許されないデータセンターでは大容量電池が不可欠だ。また、天候に左右される再生可能エネルギーの出力を安定化させる仕組みや、医療、防災、産業機械にいたるまで、電池を必要とする裾野は確実に広がっている。

 ここで重要なのは、EV向けに磨かれた高密度や高安全性といった技術が他の領域へ染み出し、産業の垣根を越えてつながり始めている点だ。これにともない、自動車や電池のメーカーは従来の車づくりから、国のエネルギー網や通信インフラの土台を支える存在へと役割を広げつつある。

 この方針転換により、以前に定めた三つの目指す姿も更新された。日本企業の関連売上高を2025年からにかけて伸ばして世界での立ち位置を守ること、国内の生産能力を2030年から2030年代半ばまでに年間150GWhまで引き上げること、そして2030年ごろに全固体電池を実用化し2030年代半ばに量産体制を整えることである。こうした融合による国内基盤や目標は、車の技術が社会インフラへと形を変えていくこれからの進路を物語っている。

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