Uberでドリフト体験? 「配車アプリ」が目指す次の市場、運賃に“最大50%上乗せ”でも選ばれる理由とは
配車アプリの競争軸が大きく変わり始めた。Uberは期間限定のドリフト体験を打ち出し、GOは高級車サービスを拡充。9800万円の負債を抱えて倒産した新興勢力も現れるなか、勝敗をわけるのは「安さ」ではなく「体験価値」へ――モビリティ産業の新たな戦場を追う。
官民連携による輸送課題の解決

配車アプリの行く先を眺めると、旅を予約する場との結びつきが一段と強まりそうだ。その兆しはすでに現れている。2026年2月12日、DiDiモビリティジャパン(東京都港区)はTrip.comとの共同キャンペーンを打ち出した。スカイツリーやスタジオツアーといった体験を予約した人に、DiDiで使える5%割引(最大500円)の券を配る試みだ。
こうした企業同士の手の組み方は、国が進める「輸送力の底上げ」とも深く響き合っている。国土交通省が2024年10月に出した文書によれば、大きな催しがある際のタクシー不足を補うため、営業エリア外での運行ルールをわかりやすくしたり、日本版ライドシェアの動く時間帯を広げたりと、運用の幅を広げる方針が示された。
人が大勢集まる時期に足りなくなる車を、高級な予約プランを持つアプリと旅の予約サイトが力を合わせて補っていく。こうした商いの形が広まることで、国が頭を悩ませてきた足の確保が、民間主導でうまく回り始めている。移動を便利にする仕組みが、観光を盛り上げ、街の課題を解きほぐす。モビリティ産業が生み出す価値は、いまやそんな領域にまで届こうとしている。