「こんな一台を待っていた」 ホンダ予約7000台は始まりにすぎない? 日本メーカーが東南アジアで挑む“次の主役”づくり
東南アジアで日系ブランドのシェアが「67.4%」から低下する一方、中国勢はEVとSDVで急伸。日本車の強みだった“壊れにくさ”だけでは選ばれにくくなるなか、各社は地方戦略や体験価値の再設計を通じ、新たな勝ち筋を模索し始めている。
地方市場に活路を見出す日系

日系メーカー各社が戦略を練るなか、ダイハツは市場の多層構造を見据え、独自の道を歩んでいる。インドネシアの都市部では中国ブランドのBEVが台頭しているが、ダイハツが目を向けたのは地方における地盤の強化だ。首都圏を除いた地域での販売比率が
「約8割」
に及び、農村部でも46%と他社をしのぐ強みを持つ同社は、地方市場での存在感をより確かなものにする姿勢を鮮明にした。
この判断は、東南アジアの社会構造を深く読み解いた結果といえるだろう。どれほど大都市で電動化が進もうとも、広大な地方では、
・車の耐久性
・修理のしやすさ
・燃料供給網の維持
が欠かせない。荒れた路面や所得水準といった現実に向き合う現場では、HVや低燃費車の実用性がいまも高く評価されている。日系メーカーが長い年月をかけて築いた販売・整備網は、デジタル技術だけでは埋められない、手触りのある信頼の土台となっている。
その証拠に、初めて車を手にする層が多い3億ルピア(約271万円)を下回る価格帯において、同社は32%という高いシェアで首位を守っている。教師や医療従事者、軍人といった地域の暮らしを担う層の期待に応えることで、生活の足としての立場を固めてきた。地方に軸足を置く戦略は、整備人材の確保や店舗維持など現場の負担も小さくない。
それでも社会インフラとしての信頼を守り続けることは、激しい競争のなかで独自の優位性となる。生産コストの変動や通貨の動きといった課題を抱えつつも、足元を支え続ける歩みこそが、息の長い成長を支える力になるだろう。