ハイウェイラジオ「42年の歴史に幕」 なぜ今“一斉放送”は役割を変えるのか? 自動運転時代へ進む「つながる道路」とは

キーワード :
,
高速道路の交通情報を支えてきた「ハイウェイラジオ」が42年の歴史に幕を下ろし、音声アプリ「ドラコ」への移行が進む。背景には設備老朽化や維持コストだけでなく、スマホ普及やGPS活用による情報伝達の個別化など、交通インフラそのもののデジタル転換がある。

デジタル依存と公共性の担保

複雑に交差する次世代通信システム(画像:写真AC)
複雑に交差する次世代通信システム(画像:写真AC)

 デジタルの力で世のなかが便利になる一方で、特定の通信網に頼りすぎる危うさも見え始めている。暮らしのあらゆる場面でスマートフォンへの集約が進むなか、端末の紛失や通信トラブルが起きたとき、道路交通の情報伝達をどう担保すべきか。特に大きな災害で通信が広範囲に途絶えてしまったとき、手元の端末だけに頼る仕組みでは、大切な情報をやり取りできなくなる恐れがある。

 さらに、高齢ドライバーが増え続けるなかで、多機能な道具への切り替えがすべての人にプラスに働くのかという点も考えておく必要があるだろう。これまでのハイウェイラジオは、周波数を合わせるという簡潔な動作だけで、誰もが交通情報を手にすることができた。公的な土台が個人の持ち物へと移っていくことは、サービスの質を磨き上げる反面、情報が届くかどうかを利用者の

・通信環境
・習熟度

に委ねる変化でもある。どんな事態になっても情報を漏らさず届けるための予備の備えをどう守っていくかは、今後の運用において無視できない重みを持つだろう。

 交通情報をめぐる産業のありようも、根底から入れ替わる時期に来ている。2000年代以降、スマホやナビ、GPS、クラウド、さらには各所に配されたセンサーやETC2.0といった要素が、車と道路を動かす仕組みのなかに深く入り込んできた。

 こうした技術が広まったことで、道沿いに大がかりな放送設備を構えておく必要性は薄れてきた。不特定多数に向けて一斉に流す放送形式から、ひとりひとりの求めに応じて中身を届ける配信形式へ――この流れは、映像や音楽の世界で起きた変化と同じ道を辿っている。

 今後は、自ら走る判断を下す自動運転車の普及も見据えることになるだろう。車が瞬時に状況を読み取るための高精度なデータ供給が、これまで以上に大きな役割を担うことになりそうだ。

全てのコメントを見る