ハイウェイラジオ「42年の歴史に幕」 なぜ今“一斉放送”は役割を変えるのか? 自動運転時代へ進む「つながる道路」とは
高速道路の交通情報を支えてきた「ハイウェイラジオ」が42年の歴史に幕を下ろし、音声アプリ「ドラコ」への移行が進む。背景には設備老朽化や維持コストだけでなく、スマホ普及やGPS活用による情報伝達の個別化など、交通インフラそのもののデジタル転換がある。
個別最適化する情報配信の形

情報の伝え方が変わる。それは単なる手段の変更ではなく、交通の動かし方そのものを根本から変えていく可能性をはらんでいる。「ドライブ」と「コネクト」を掛け合わせた新アプリ「ドラコ」は、全地球測位システム(GPS)による位置情報を生かし、ひとりひとりに必要な中身を選び取って届ける。これまではすべての車に同じ情報を一斉に流すしかなかった。しかし、これからは進む先で起きている渋滞や天候の崩れといった出来事を、それをまさに必要としているドライバーだけに、直接知らせる仕組みが整いつつある。
これまでの放送が特定の地点を通る際にしか得られなかったのに対し、新しい仕組みでは突発的な事象の手前で注意を促す「安全支援情報」や、出発前に確認できる「お出かけ前情報」など、状況に合わせたきめ細かな案内を可能にしている。さらに、声での操作や多言語への対応も進み、世界中の人々が道を往来する今の社会にふさわしい形へと広がってきた。求めるものを、その瞬間の状況に合わせて手渡す。こうした流れは、これからの高速道路におけるやり取りの、当たり前の姿になっていくだろう。
デジタル化の波は、高速道路の運営を次のステージへと押し進めている。NEXCO東日本が取り組む「moVisionプロジェクト」は、その先頭を走るものだ。2026年度には東北自動車道の鹿沼インターチェンジ(IC)から宇都宮ICの間で、実際の道を舞台にした実験が行われる。仮想の世界でさまざまな予測を行い、導き出された最善の策を現実の運用に生かす仕組み。道そのものが膨大なデータを生み出し、交通の管理を支える。そんな情報インフラへの変貌が、いま着実に進んでいる。