“脱中国”は本当に可能なのか? レアアース9割依存の現実、「ハイブリッド車」を直撃するサプライチェーンの死角とは

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イラン情勢緊迫で露呈したナフサ不足と、中国が精錬の9割を握るレアアース問題。資源小国・日本が抱える「構造的弱点」を克服する鍵は、安易な脱中国ではない。2026年の激動する地政学リスクを前に、経済を「相互人質」とする高度な依存関係の構築こそが抑止力となる。モビリティ産業の未来を占う、逆転の安保論。

ホルムズ海峡封鎖と供給リスク

衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=10月24日午後、国会内(画像:時事)
衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=10月24日午後、国会内(画像:時事)

 イラン情勢の緊迫化にともなうホルムズ海峡の封鎖リスクが現実味を帯びるなか、ナフサをはじめとする石油化学製品の供給不安が広がっている。インクや樹脂など、製造業の根幹を支える素材が滞れば、その影響は産業全体に波及する。

 本件が改めて浮き彫りにしたのは、日本の経済安全保障環境の脆弱性だ。これはイラン危機によって顕在化したにすぎず、資源小国・日本が長年抱えてきた構造的な問題である。石油化学製品はあらゆる工業製品に使用され、軍事・防衛分野においても不可欠であることを考えると、その根深さは一層際立つ。

 地政学リスクや経済安全保障の観点からは、こうした国際情勢の急変を常に織り込んで行動することが求められる。

 とりわけモビリティ産業は、部品から原料まで世界中の調達網に依存して成り立っている。日本メーカーは資源小国という制約のもと、サプライチェーンが複雑に絡み合っており、地政学・経済安全保障リスクへの感度を高く保つことが不可欠だ。サプライチェーンの多様化とリスク分散は、企業にとって避けられない経営課題となっている。

 しかし実態は厳しい。現状で企業が実質的にとれる手段は「在庫の積み増し」にとどまり、調達先の多様化はほとんど進んでいない。

 さらに、サプライチェーン問題を論じる際には、原材料の精錬・商品化プロセスにも目を向ける必要がある。日本は原油をガソリンや軽油に精錬する技術を国内に持つが、ナフサについては国内精錬だけでなく、ナフサそのものを輸入に頼っている。プラスチックなど石油化学製品は理論上、非石油由来でも製造可能だが、日本では実用コストに達していないのが現状だ。今回のイラン情勢で、原油問題より先にナフサ不足が表面化したのはそのためである。

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