“脱中国”は本当に可能なのか? レアアース9割依存の現実、「ハイブリッド車」を直撃するサプライチェーンの死角とは
経済的相互依存による対中抑止

ここまでの論旨に対し、
「結局、中国依存は仕方がないといいたいのか」
という批判が出るかもしれない。中華人民共和国の現体制に反発する立場からすれば、当然の疑問だろう。断っておくが、「脱中国依存は簡単ではない」という現実認識と、「政治・外交面で中国に屈従する」こととはまったく別の話だ。そこに中国封じ込めの可能性を探る余地がある。
ひとつの補助線として、イラン情勢への中国の対応を見てみたい。中国は原油の主要輸入先として中東に大きく依存しており、イランもその一角だ。一方でUAEなど他の中東諸国も重要な調達先であることから、中国としてはイラン情勢の穏便な収束が本音であろう。近年では珍しいほどの静観的姿勢の背景には、こうした利害計算があると見られる。
レアアース等のサプライチェーン問題に視点を戻すと、先進国が中国の工業製品に依存しているという事実は、裏を返せば
「中国の国内雇用が先進国の需要に支えられている」
ことを意味する。経済的相互依存が深まるほど、どちらの側も極端な外交・軍事行動に踏み切りにくくなる構造だ。
この非対称な依存関係を逆手に取る発想が、現実的な対中戦略の核心になり得る。多国間協力を基盤とした経済安全保障体制の構築を追求しつつ、中国との対話を維持しながら緊張緩和を図る。
率直にいえば、互いの経済を「相互人質」とする高度な依存関係を意図的に構築し、
「日本との関係悪化は自国のハイテク産業・経済安定にとってマイナスだ」
と中国側に認識させることが、抑止力として機能しうる。完全な脱中国よりも、はるかに実現可能な方策ではないだろうか。
もちろん、経済的利害を度外視した強硬な軍事・外交行動に出るリスクは常に残る。しかし逆に、早急な中国離脱は反日感情を高め、中国を過激な行動へと駆り立てる可能性もはらんでいる。