“脱中国”は本当に可能なのか? レアアース9割依存の現実、「ハイブリッド車」を直撃するサプライチェーンの死角とは
イラン情勢緊迫で露呈したナフサ不足と、中国が精錬の9割を握るレアアース問題。資源小国・日本が抱える「構造的弱点」を克服する鍵は、安易な脱中国ではない。2026年の激動する地政学リスクを前に、経済を「相互人質」とする高度な依存関係の構築こそが抑止力となる。モビリティ産業の未来を占う、逆転の安保論。
脱中国依存が孕む現実的課題

経済安全保障をめぐる議論では
「脱中国依存」
が自明の前提として語られがちだ。しかし、それは本当に現実的な選択肢なのか。
経済安全保障政策に精通することで知られる小林鷹之政調会長は、2026年2月に自身のX(旧ツイッター用)で次のように述べた。
「レアアースの輸出規制が始まっています。経済的威圧。一連の過程のうち、とりわけ「精錬」については中国が9割のシェアを握っています。精錬は、大量の水と電力を必要とする上に、環境コストが大きいとされるため、日本では難しいとされてきました。しかし、私は、わが国の経済活動の自律性向上を考えれば、その壁を越えて日本国内でも実施を政治決断する時期に来ている」
その気概は評価できる。だが現実には、国内でレアアースを精錬するには莫大な電力が必要だ。石油・石炭・原子力を問わず、発電に使う資源もまた輸入に依存する日本にとって、精錬の国産化がどれほど経済的自立をもたらすかは不透明といわざるを得ない。
中国サプライチェーンからの離脱が製造品質や開発スピードの低下、ひいては企業収益の悪化につながるリスクも無視できない。地政学リスクへの対応だけを理由に調達先を組み替えることには、相応の困難がともなうのが実情だ。