打率4割は「快挙」か「失格」か? 経産省リポートが浮き彫りにした、交通の「生き残る地域」と「消えた構想」の境界

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国と経産省が進めたスマートモビリティ事業は7年で終了。73地域のうち実装は約4割にとどまり、移動サービスの収益性と制度設計の難しさを浮き彫りにした。成功と撤退が混在する実証の実像とは何か。

7年の幕引きと打率4割の真実

経済産業省(画像:写真AC)
経済産業省(画像:写真AC)

 国土交通省と経済産業省が共同で進めてきた「スマートモビリティチャレンジ」が、2019年の開始から7年を経て、2026年3月31日にその歩みを止めた。

 この事業が向き合ってきたのは、収益化が極めて難しく市場の論理だけでは回らなくなっている地方交通という領域だ。そこに国が公金を投じ、リスクを肩代わりする形で投資を行った点に、このプロジェクトの本質がある。

 目的は「地域MaaSの確立」だったが、その内実は易しいものではなかった。課せられたのは一律の仕組みを広めることではなく、各地の異なる事情を汲み取り、別の素材をひとつひとつ組み合わせていく精密な作業だ。市区町村という単位で自律的な移動の仕組みを築き上げることは、難易度の高い挑戦といえる。結果として、この事業は約4割の取り組みが継続に至り、

「成功率4割のバッター」

とも評されている。野球の世界なら優秀な数字だが、投じられたのが

「われわれの税金」

であることを思えば、手放しでの称賛には慎重にならざるを得ない。市場の可能性を掘り起こし、生き残れる限界点を見極めた結果としての4割。果たしてこの数字は、妥当な着地だったのか、それとも振るわない結果に終わったのか。その実態を改めて掘り下げてみたい。

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