打率4割は「快挙」か「失格」か? 経産省リポートが浮き彫りにした、交通の「生き残る地域」と「消えた構想」の境界

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国と経産省が進めたスマートモビリティ事業は7年で終了。73地域のうち実装は約4割にとどまり、移動サービスの収益性と制度設計の難しさを浮き彫りにした。成功と撤退が混在する実証の実像とは何か。

既存規制の壁と地域主体の試練

採択地域一覧(7年間、累計73地域)(画像:経済産業省)
採択地域一覧(7年間、累計73地域)(画像:経済産業省)

 スマートモビリティチャレンジ推進協議会が担ってきた役割は、各地の地域MaaSにおける実証実験、あるいはその先の事業化を後押しする支援に尽きる。

 いま、日本の移動をめぐる事業は、地域が自らハンドルを握り運営する形へと姿を変えつつある。地元の交通事業者や団体が現場のかじを取り、国は許認可やデータ解析からプロジェクトの足場を固める。車両を作る価値の重きを運行や管理といったサービス側へと移していく、大きな流れが見て取れる。背景にあるのは、

・車との付き合い方の変化
・人口減少といった社会構造の変化

だ。移動の困りごとを解きほぐし、地域経済を勢いづかせ、関連産業の幅を広げていく。支援の形も、自動運転バスや異業種との連携など、その土地の事情に踏み込んだ試みを促してきた。結果として、全国へ広がる先例も生まれている。

 見落とせないのは、地域の事情に寄り添う姿勢そのものだろう。プロジェクトが目を向けているのは、移動に不自由を抱える交通弱者だ。すでに十分な手段を持つ人たちの利便性をさらに上積みしようとする話ではない。

 半数を超える事業が幕を下ろした事実は重い。これまでの交通規制や、業界に根を張る利益構造との調整がいかに困難であったかを如実に物語っている。

 それでも、志半ばで終わった事業が残したものは小さくない。どのような条件が揃えば仕組みが立ち行かなくなるのか、その限界を身をもって示したからだ。民間だけでは踏み込めない領域に、国がリスクを背負って一歩踏み込んだ帰結として捉えるのが自然だろう。

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