打率4割は「快挙」か「失格」か? 経産省リポートが浮き彫りにした、交通の「生き残る地域」と「消えた構想」の境界
国と経産省が進めたスマートモビリティ事業は7年で終了。73地域のうち実装は約4割にとどまり、移動サービスの収益性と制度設計の難しさを浮き彫りにした。成功と撤退が混在する実証の実像とは何か。
デジタルと物理を分かつ生存率

スマートモビリティチャレンジが手を差し伸べた地域は、累計で73にのぼる。そのうち、実証実験の山を越えて実装までこぎつけたのは17地域、26事例だ。
具体的な数字を追うと、興味深い事実が見えてくる。デマンド交通については、「実装」が19%で「実証継続中」も19%。合わせると38%が生き残っている計算だ。一方で、複数の移動手段を束ねるMaaSアプリやモビリティハブは、「実装」が31%、「実証継続中」が13%で、合計44%に達している。
情報の統合を軸に据えるアプリの方が、車両を走らせる仕組みよりも“生存率”が高い。物理的な車両を動かすとなれば手間も費用もかさむが、ソフトウェアを土台にすれば、利用者が増えた際の追加負担を低く抑えられる。経済的な理屈もあり、今も約4割の地域で取り組みが続いている。
巨額の予算を投じながら半分以上が幕を閉じたことへの批判は免れないだろう。だが、この4割という数字は、厳しい環境でも生き残れる事業の輪郭を浮き彫りにした結果とも受け取れる。
いまも継続している地域に共通しているのは、移動をそれだけで完結させない姿勢だ。買い物や通院といった日々の暮らしと切り離せない活動に、移動の仕組みを深く溶け込ませている。地域で必要とされる条件をあぶり出したことは、これからの投資の無駄を省くための確かな材料になるはずだ。