「補助金ないなら買いません」 EV市場崩壊でフォード2.9兆円損失、メルセデス・ベンツAクラス継続が突きつけるハイブリッド車の現実
欧米EVシフトが失速し、主要15か国の電動車販売は3.5%減の199.9万台。フォードは195億ドル損失を計上。補助金依存が崩れるなか、HV需要が再び主導権を握り、日本勢の戦略優位が鮮明となっている。
インフラの壁と現実的な収益源の確保

EVが将来的に優位に立つとの予測は根強い。しかし今後10年程度は、インフラや価格の制約から市場の主導権はHVが保持する見通しだ。推進派は、電池価格の低下や全固体電池の実用化により、2030年代前半にはEVのコストがHVを下回るとみる。製造コストの多くを占める電池が安価になれば、車両価格と維持費の両面で優位性が確立されるとの計算だ。
実情は物理的な制約が立ちはだかる。各国の財政悪化で補助金の縮小や廃止が進み、政策支援に依存した販売は限界を迎えている。EV普及にともなう電力需要の急増に対し、送電網の増強や充電設備の整備といった土木コストの低減は容易ではない。
車両単体の価格が下がっても、社会インフラの受容能力が普及の壁となる。インフラ整備費を含めた実質的な負担額に消費者の支払い能力が追いつかない現状も無視できない。
将来予測と足元の市場環境には隔たりがある。当面は既存インフラを活用でき、費用対効果に優れるHVが収益の柱となる。国内メーカーにとってHVで得る利益は、車両の知能化や自動運転といった次なる競争領域への投資原資となる。理想論に偏らず、現在の優位性を次世代の競争力に転換する取り組みが求められる。