「補助金ないなら買いません」 EV市場崩壊でフォード2.9兆円損失、メルセデス・ベンツAクラス継続が突きつけるハイブリッド車の現実
欧米EVシフトが失速し、主要15か国の電動車販売は3.5%減の199.9万台。フォードは195億ドル損失を計上。補助金依存が崩れるなか、HV需要が再び主導権を握り、日本勢の戦略優位が鮮明となっている。
EVシフトの失速による巨額損失の計上

急進的なEVシフトへの傾倒は、欧米メーカーの経営に深刻な損害を及ぼし、巨額損失を招いている。
米フォード・モーターは、大型EV開発の規模縮小にともない、2025年末に約195億ドル(約2兆9000億円)の特別損失を計上した。将来の収益を支えるはずだった多額の投資が回収不能となった事実を財務的に認めた形だ。同社は現在、収益性の高い商用向けHVや蓄電池事業へと資金を振り向け、経営の立て直しを急いでいる。
独メルセデス・ベンツも、2030年までの全車種EV化という目標を事実上撤回した。2025年に生産終了予定だった内燃機関搭載の「Aクラス」は販売を継続する。高価格帯のモデルであっても、バッテリー技術だけでは自社の強みであるエンジンの精緻さやブランドの格調を維持し、他社と差別化することが困難だったためだ。
特定の技術に偏った投資は資金の硬直化を招き、経営の柔軟性を奪う。収益基盤を支える既存技術とのバランスを保つ判断が、企業の存続を左右する事態となっている。