「補助金ないなら買いません」 EV市場崩壊でフォード2.9兆円損失、メルセデス・ベンツAクラス継続が突きつけるハイブリッド車の現実
リセールリスクの露呈と実利によるHV回帰

消費者が理想や政策に流されず、利便性や経済性を重視した結果、市場ではHVの存在感が高まっている。最新の統計はこの傾向を物語る。主要15か国における2026年3月の電動車(xEV)販売台数は前年同月比3.5%減の199.9万台となった。1~3月の累計でも前年同期比7.5%減の465.0万台にとどまり、市場全体が調整局面にある。電動車の占有率は34.3%で、急速な普及は一段落した(マークラインズ 電動車(xEV)販売月報 2026年3月より)。
2025年の欧州新車市場でEVのシェアが17%台で頭打ちとなった背景には、環境意識の高い初期購入層の需要が一巡し、実用性を重んじる一般層へ普及しきれなかった実態がある。2026年3月のパワートレイン別内訳は、バッテリー式電気自動車(BEV)のシェアが16.8%、HVが10.2%、プラグインハイブリッド車(PHV)が7.3%となった。車両価格の高さに加え、技術刷新の速さによる将来の売却価格下落リスクが消費者の不安要素となっている。充電インフラの整備状況による地域格差や、充電時間の長さも生活上の負担となっている。
対照的に、HVは欧州市場で34%超のシェアを獲得し、最大勢力となった。既存の給油網を活用できるため、航続距離や補給時間への懸念がない。メーカー別の動きも顕著だ。中国の比亜迪(BYD)が前年同月比31.1%減、吉利汽車(ジーリー)が25.0%減と伸び悩む一方、HVが好調なトヨタ自動車は11.5%増と増勢を強めている。
燃費性能による維持費の抑制に加え、中古車としての資産価値が安定している点も支持を集める要因だ。消費者は政治目標よりも価格や安心感といった実利を重視しており、今後の電動化戦略はこうした市場の選択を前提とした見直しが求められる。