トヨタ「燃費改善」で首位、テスラと明暗――米国で3.3mpg差を生んだSUVシフトとは

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平均燃費は過去最高の27.2mpgに到達したが、その内実は電動車とSUV偏重による「数値の押し上げ」だ。BEV・PHVが1.7mpg分を補填し、規制と収益を両立させる構造が浮かび上がる。技術革新だけでは語れない、燃費改善の実像に迫る。

各社戦略が分かれる燃費改善の内実

主要メーカーの推定実燃費の変化。2019年~2024年モデル(画像:米国環境保護庁)
主要メーカーの推定実燃費の変化。2019年~2024年モデル(画像:米国環境保護庁)

 過去5年間、米国で車両を販売する主要14社のうち13社が実燃費(推定値)を向上させた。

 2019年モデルから2024年モデルにかけての改善幅は、トヨタ自動車が3.3mpg(1galあたり約1.4km)と最大で、BMWの2.8mpg、メルセデス・ベンツの2.4mpgが続いた。この期間、テスラは唯一数値を低下させたが、これは主力がセダンから重量のあるSUVへ移行した影響による。

 各社の数値変動は、投入車種の構成が利益構造とどう連動しているかを映し出す。車両の全面改良周期とされる約5年の間に投入される技術が、燃費性能を左右する。トヨタが首位となった背景には、開発コストの回収が進んだハイブリッド技術を量販SUV群へ徹底的に横展開した規模の利益がある。他社がBEVの普及に苦戦するなか、既存技術の浸透を優先した判断が数字に表れた。

 一方、テスラの全EVラインアップは2024年モデルで117.1mpgと、依然として他社を圧倒する高水準の効率を維持している。それにもかかわらず数値が低下したのは、同社が限定層向けの環境車メーカーから、利幅の大きい大型車主体の量産メーカーへと経営の重心を移した結果といえる。

 改善率の差は、完成された技術の横展開による全体最適を選んだ既存大手と、高収益な大型化へかじを切った新興勢力との戦略的な対照性を浮き彫りにしているだろう。

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