「GWは予定がありません」 平均予算2.7万円の裏で進む、連休を真っ二つに分けた“選民レジャー”の実像
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平均値と実態の乖離

この調査が突きつけているのは、全体の平均値と特定の層の動きが、もはや別の世界の出来事のように離れてしまっている現実だ。
前述の通り平均予算2万7660円という数字を眺めれば、一見、消費の勢いが弱まったように映る。しかし、実際に宿泊旅行を予定している層に目を向ければ、その予算は10万円の大台に迫る。この乖離は、これまで市場の厚みを形づくっていた中間層が細り、消費のあり方が真っぷたつにわかれたことを物語っている。平均値は実態を映す鏡としての役割を終え、むしろ支出を削る層と高値を払ってでも価値を求める層の分断を覆い隠す数字になってしまった。
「予定なし」と答えた人が4割を超えたことも、意欲の低下とはいい切れない。物価の高騰や混雑といった不利益を比較して、家で過ごす方が合理的だと判断する人が増えた結果だろう。一方で、10万円近い予算を組む層は、その対価を払わなければ連休中の快適さや確実性を守りにくい現実を受け入れ、あえて高い価格帯に身を置いている。各自が自分の置かれた状況にふさわしい動きをした結果、中庸な価格帯のサービスは市場から姿を消し、選択肢は両端へと引き裂かれた。
宿泊旅行の予算が前年比112%まで伸びた背景には、物価高に加えて、供給側が収益を重視した姿勢がある。需要が重なる時期に価格を引き上げるのは経営判断として自然な流れだが、その結果として、一定以上の資金力を持つ層だけが門を潜れる仕組みができあがった。
利用者側もまた、限られた休暇で失敗したくないという思いから、質の確かなサービスに支出を集中させている。作り手と使い手の双方がそれぞれの利益を求めて動いた結果、「旅行をするなら高額な出費は避けられない」という状況が定着した。レジャーはかつてのような自由な選択肢ではなく、手持ちの資金によって参加の可否が振りわけられるものへと変質しているのだ。