ランドクルーザーが“90秒で消える”現実、CANインベーダーが変えた車両盗難6080件の構造と生活コストへの波及

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海外での日本車需要を背景に、2025年の車両盗難は全国6080件、保険金約82億円に拡大。CANインベーダーによる90秒の犯行が常態化し、資産流出が構造化している。

盗難の産業化と高効率化

CANインベーダー盗難のイメージ(画像:クロスメンバー)
CANインベーダー盗難のイメージ(画像:クロスメンバー)

 愛知県は日本で最も車が多い県だが、同時に盗難被害でも2年連続のワーストという不名誉な記録を抱えている。

 警視庁が2026年2月にまとめた資料を見れば、その深刻さは一目瞭然だ。全国の認知件数6386件のうち、愛知県だけで1051件。全国の被害の

「約16.5%」

がこの地域に集中している計算になる。1件あたりの平均保険支払額が約298万円であることを踏まえると、県内の被害総額は31億円を優に超える。地域経済を支えるはずのインフラが、皮肉にも犯罪の効率を突き上げる皮肉な構造が見えてくる。

 特に名古屋市周辺は、ランドクルーザーやレクサス、アルファードといった高級車の所有率が際立って高い。加えて、

・発達した高速道路網
・大規模な湾岸施設

が、盗み出した車をすぐさま海外へ送り出すための「出口」として機能してしまっている。物流やモノづくりを支えるための便利な交通網が、結果として盗難から換金に至る不法なルートを助けている側面は否定できない。狙い目の車が豊富にあり、港へのアクセスもいい。犯罪グループにとってこれほど実入りのいい環境はないだろう。

 こうした構図は愛知県に限った話ではない。埼玉県や神奈川県、茨城県、千葉県といった、広域交通網と港湾を抱える自治体でも似たような被害が後を絶たない。点在する被害が積み重なることで、日本全体が被る経済的な打撃は、もはや無視できない段階に達している。

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