燃料サーチャージ「形骸化」の正体――157円で崩れる採算構造【短期連載】1リットルの重み(1)
原油高が直撃するトラック業界で、燃料費を運賃に転嫁できる企業は23.2%にとどまる。収支率100.7%の薄利構造のもと、燃料が150円/Lで赤字に転落する例も出ており、従来の運賃見直しだけでは追いつかない現実が浮き彫りになっている。制度対応の遅れが経営を圧迫している。
業界全体に広がる低収益

営業収支率によって燃料価格上昇の影響は変わるが、そもそもトラック事業の収益体質は強いとはいえない。運賃・原価に関する調査によると、25台以下の小規模事業者の平均は100%を下回り、26~30台規模で100.7%、31台以上でも103.0%にとどまる。業界全体として、燃料価格の変動を受けやすい状況にある。
2026年4月1日には暫定税率17.1円が廃止された(補助金は継続中)が、効果は限られる見通しだ。むしろ原油価格の上昇の影響の方が大きい。実際、名古屋市交通局は、4月分に限るが1Lあたり199円(消費税別)で契約したと報じられている。
エコドライブなど、事業者ごとに取り組める対策の積み重ねも重要だが、それだけで吸収できる段階は過ぎている。今回のモデルケースでは車両費や人件費を一定としたが、現実には物価上昇や賃上げの影響でコスト全体が膨らんでいる。
本来は営業収支率を高め、利益を確保しやすい体質へ転じる必要がある。しかし、物価や人件費、社会保障費の上昇が重なり、対応の余地は大きくない。営業収支率の低さは、各事業者だけで解決するのが難しい業界の課題であり、より踏み込んだ制度の見直しが求められている。