万博EVバス「民事再生」の激震――190台はなぜ“バスの墓場”へ消えたのか? 57億円負債と公共調達の死角

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万博で導入されたEVバス190台が、わずか数か月で運用停止に追い込まれた。約80億円の投資と40億円超の公金は回収問題へ発展し、不具合率35%という異例の事態も発覚。輸入依存の実態と検証不足が露呈し、公共調達の前提が厳しく問われている。

輸入依存の実態と国産表示の乖離

 万博に導入された車両を納入したのは、EVモーターズ・ジャパン(福岡県北九州市、EVMJ)である。しかし、その実態は海外製造の車両をそのまま持ち込んだものに過ぎなかった。同社は国産を標榜し、九州の自社工場を公開するなど期待を集めていたが、実際には国内での組み立て実績は確認されていない。実情は輸入車両の販売にとどまっており、看板と実態の乖離が浮き彫りとなっている。

 会期中から、同車両は自動運転中の事故や不具合を繰り返した。事態を重く見た国土交通省は、2025年10月に道路運送車両法に基づく立ち入り検査をEVMJ社へ実施している。その翌月、同社は前輪ブレーキホースの損傷により制動力を失う恐れがあるとしてリコールを届け出た。国交省の点検によれば、全国に導入された同型車両の約35%で不具合が露呈するという、極めて異例の事態に発展した。

 運用継続の断念を決定づけたのは、2026年1月末の試験走行だ。車軸と車体を繋ぐ部品が破断するという、車両の根幹を揺るがす重大事象が発生したのである。国内メーカーが長年蓄積してきた振動への耐性や、日本の過酷な使用環境に対する知見が、この車両には根本から欠落していたといわざるを得ない。構造上の欠陥に起因する課題は、もはや部分的な改修で取り繕える段階を越えていた。

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