万博EVバス「民事再生」の激震――190台はなぜ“バスの墓場”へ消えたのか? 57億円負債と公共調達の死角
万博で導入されたEVバス190台が、わずか数か月で運用停止に追い込まれた。約80億円の投資と40億円超の公金は回収問題へ発展し、不具合率35%という異例の事態も発覚。輸入依存の実態と検証不足が露呈し、公共調達の前提が厳しく問われている。
リコール対応に残る改修力への疑問

EVMJが届け出たリコールの内容は、不具合のあったブレーキホースを対策品へ交換する処置に留まる。しかし、この車両は同社が開発の土台を担ったものではなく、海外製造の既製品をそのまま持ち込んだものだ。車両構造の根幹から見直しを図り、改修を完遂する実力が備わっているのか。その懸念は、部品交換という表面的な対応だけでは拭い去れない。
車両の安全を担保する仕組みは、走行環境の過酷さに規定される。日本メーカーが築き上げた信頼の源泉は、国内特有の厳しい条件に適合させた開発水準にある。夏冬の激しい寒暖差や高湿度、頻繁な停車と発進、急峻な坂道。これらは車両に多大な負荷を強いる。日本の風土を前提に組み上げられていない車両が、実運用において安全性を損なうのは、半ば必然といえるのかもしれない。
海外製車両を導入する際、日本の環境に即した調整や検証は避けて通れないプロセスである。本来、輸入を担う企業が責任を持って完遂すべき責務であったが、実態は十分な走行試験を欠いたまま導入が強行された。金子恭之国土交通相が
「(再発防止の取り組みを注視し)必要に応じてさらなる対応を行っていきたい」(『産経新聞』(2026年4月3日付け)
と明言した背景には、製造物責任を負う企業としての適格性に対する、国家レベルの厳しい不信感がある。