万博EVバス「民事再生」の激震――190台はなぜ“バスの墓場”へ消えたのか? 57億円負債と公共調達の死角
万博で導入されたEVバス190台が、わずか数か月で運用停止に追い込まれた。約80億円の投資と40億円超の公金は回収問題へ発展し、不具合率35%という異例の事態も発覚。輸入依存の実態と検証不足が露呈し、公共調達の前提が厳しく問われている。
環境目標優先で揺らいだ基盤軽視

190台の活用断念という結末は、日本の公共交通が環境負荷の低減を急ぐあまり、足元の基盤を軽んじていた事実を浮き彫りにした。バスは一度導入すれば十数年にわたり地域を支え続ける資産である。その価値は車両性能だけでなく、修理部品の安定供給や保守体制の厚みによって担保されるものだ。実体のともなわないブランドに依拠し、長期運用の持続性を見誤れば、どれほど崇高な目標を掲げても、その資産は短期間で重い負担へと変質する。
今後は、導入コストや環境性能といった可視化された数値のみならず、製造工程の透明性や保守体制の継続力を厳しく見極めねばならない。今回の事態を個別の不手際として片付けるのは危うい。むしろ公共調達の仕組みが内包する脆弱性が露呈したものと捉えるべきだろう。
地域の足を支えるための脱炭素化とは、本来どうあるべきか。安全という大前提を欠いたまま加速させた変化は、結果として80億円以上の資産喪失と、数億円規模の補助金返還という重い代償を招いた。この事実を、一時的な混乱として見過ごしてはならないのだ。