日産が去り、中国が笑う?――シェア4割「日本車王国」崩壊の序曲、現地生産シフトが突きつける辛らつ現実
人口16億人を抱え、世界人口の4人にひとりが将来アフリカに暮らすとされるなか、南アフリカは域内GDPの約2割を占める中核市場だ。年59万台の新車市場で日本勢は約4割を確保するが、中国勢の現地生産拡大と日産の撤退を契機に競争は一気に加速している。
アフリカ市場の中古車依存

アフリカ大陸の路上を見渡せば、今も主役は中古車だ。この地でEVが当たり前の存在として行き渡るまでには、まだ相当な時間がかかるだろう。新車市場がまともに機能しているのは、南アフリカやエジプト、モロッコといった一握りの国々に過ぎない。その限られたパイの中で、EVの現地生産にいち早く動いたのはエジプトだった。政府による手厚い誘致策を追い風に、中国や欧州のメーカーがすでに組み立てを始めている。
対する南アフリカは今、輸入販売の段階から、自国で車を作る形へと移り変わる瀬戸際にある。2025年のEV販売台数は1000台ほどと、数字の上ではまだ少ない。だが、奇瑞汽車やBYDの工場が本格的に稼働すれば、景色は一変するはずだ。中国メーカーにとって、アフリカはもはや「遠い異国」ではない。自国市場の頭打ちや欧州での関税の壁を前に、彼らはこの大陸を次なる成長を担う生産拠点として位置づけている。ここでカギを握るのが、
「アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)」
という枠組みだ。この仕組みをうまく使えば、南アフリカの地で作られた車は、関税に縛られることなく大陸の隅々まで送り出すことができる。南アフリカが電動車の入り口としての役割を強めていく。それは同時に、中国メーカーがその流れに乗って、アフリカ全土へと一気に攻め込む道が拓かれることを意味している。
北のエジプトか、南の南アフリカか。どちらが電動化の主導権を握るのか。この拠点争いの行方は、これからのアフリカ市場の勢力図を大きく書き換えることになるだろう。