日産が去り、中国が笑う?――シェア4割「日本車王国」崩壊の序曲、現地生産シフトが突きつける辛らつ現実
人口16億人を抱え、世界人口の4人にひとりが将来アフリカに暮らすとされるなか、南アフリカは域内GDPの約2割を占める中核市場だ。年59万台の新車市場で日本勢は約4割を確保するが、中国勢の現地生産拡大と日産の撤退を契機に競争は一気に加速している。
南アフリカ市場の競争激化

南アフリカは長い間、将来性のある有望な市場として語られてきた。だが、その位置づけは今、大きく変わりつつある。かつての「期待の星」は、いまや世界中のメーカーが火花を散らす競争の最前線へと姿を変えた。日本、欧州、米国、そして中国。各陣営が入り乱れるなかで、誰が最後に笑うのか。その先行きを見通すことは容易ではないが、戦いはすでに始まっている。
日本メーカーにとって、これまで享受してきた有利な立場は、もはや当たり前に守られる聖域ではない。欧州や米国の勢力が生産への投資を広げ、そこへ中国勢が猛烈な勢いで現地生産を加速させている。市場のルールそのものが、根底から書き換えられたといってもいいだろう。
今後の焦点は、日本勢がこの荒波にどう立ち向かうかにある。中古車の流通を通じて、日本車の耐久性への信頼は大陸の隅々まで行き渡っている。しかし、これからはそれだけでは戦えない。中国勢が仕掛ける低価格攻勢や、スマートフォンのように進化する通信機能を備えた車両に対し、どう対抗軸を打ち出すのか。その真価が問われている。
もっとも、日本勢に勝機がないわけではない。長年にわたる現地生産の積み重ねや、地域に深く根を張った部品供給網は、一朝一夕に崩れるものではない。この基盤を土台にして、国が進める電動化の波に乗り、さらには周辺諸国への輸出を広げていく。そうした粘り強い一歩を積み重ねることができれば、今の立場を守り抜く余地は十分にあるはずだ。
南アフリカ市場でいま起きていることは、この国だけの話にとどまらない。ここでどのような決着がつくのか。その結末は、アフリカ大陸の未来を映し出すだけでなく、新興国全体における日本車の行方を占う重要な指標となるだろう。