日産が去り、中国が笑う?――シェア4割「日本車王国」崩壊の序曲、現地生産シフトが突きつける辛らつ現実
電動化政策と産業転換

南アフリカ政府が、自動車産業の電動化に向けて大きくかじを切った。その背景にあるのは、強い危機感だ。主な輸出先である欧州などで環境規制が一段と厳しくなるなか、もし対応が遅れれば、国内で作った車が国際市場から弾き出されかねない。
貿易産業競争省は2023年12月、電気自動車(EV)に関する白書を発表した。ここでは、これまでのガソリン車中心から、EVを含む多様な動力源へ移り変わる道筋を示している。2024年度の予算には投資を促す仕組みも盛り込まれた。具体的には、2026年3月からEVや水素車への投資額に対し、150%の税控除を認めるという。さらにハイブリッド車やプラグインハイブリッド車(PHV)を対象にした枠組みの整備も進む。購入者への補助金や、電池生産を支えるための支援も検討されている。
もっとも、この国には慢性的な電力不足という大きな壁がある。頻発する計画停電は、これまでEV普及を阻む最大の要因と見られてきた。しかし、事態は少し意外な方向へ動き始めている。停電が当たり前になるなかで、EVを「走る巨大な蓄電池」として捉え、家庭の電力を補う手段に使おうという関心が高まっているのだ。
こうした変化を捉え、既存の工場でも投資が活発になっている。BMWは2024年からロスリン工場で、輸出向けの「X3」のPHV生産を始めた。フォードもまた、2025年から看板車種であるピックアップトラック「レンジャー」のPHV生産に乗り出している。
新たな動きもある。ステランティスは2026年、東ケープ州で新工場を稼働させる。当初は年5万台、将来的には9万台まで増やす構えだ。2030年までに、地域内で売る車の9割を現地生産にするという高い目標も掲げる。欧米メーカーは南アフリカを、一市場ではなく、アフリカ全体へ車を送り出す重要な拠点として位置づけている。