「安すぎて不安になる」 値上げ5%の中で進むタイヤの正体――ナショナルブランドと新興勢力の間で進む主導権の変化

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物価上昇とタイヤ価格高騰が続くなか、PBタイヤは国内メーカーの生産力と小売網を背景に価格優位を保てるのか。アジアンタイヤの台頭も進む中、品質・価格・安心の競争構造が市場を揺らしている。

工場稼働とPB製造の関係

マックスランエフィシアの総合性能レーダーチャート(画像:オートバックス)
マックスランエフィシアの総合性能レーダーチャート(画像:オートバックス)

 この安さを支えているのは、実はタイヤメーカー側の切実な事情だ。巨大な工場を抱えるタイヤ生産では、いかに設備を止めずに動かし続けるかが収益を左右する。自社ブランドの売れ行きに振り回されず、常に稼働率を高く保つことは、全体の生産コストを下げるために欠かせない。メーカーはPBの製造を引き受けることで、工場の空きを埋め、重い固定費の負担を分散させているのだ。

 店側にとっても、PBを扱う旨みは大きい。自ら値付けをコントロールできるため、ナショナルブランドが看板代として上乗せしている利益分を、自らの懐に取り込むことができる。他社の製品を並べるよりも、一本当たりの儲けは自然と大きくなる。この収益の厚みが、店頭での積極的な推奨を後押ししている。

 一方で、安さで競合するアジアンタイヤは、いまや新車に採用されるほど品質を上げ、その低価格を武器に攻勢をかける。これに対し国内PBは、国内大手の製造ラインを使いこなすことで品質のブレを抑えつつ、無駄な宣伝を省いて性能と価格の均衡を保っている。

 さらに、PBには生産の融通が利きやすいという強みもある。小売店は現場の販売データから需要を読み解き、メーカーと在庫のリスクを分け合うことで、余剰コストを極限まで削る。こうした需給の細かな調整が、最終的な販売価格を抑える力となっているようだ。

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