「安すぎて不安になる」 値上げ5%の中で進むタイヤの正体――ナショナルブランドと新興勢力の間で進む主導権の変化
タイヤ価格上昇の継続

近ごろ、タイヤの値段がじわりと上がり続けている。横浜ゴムは2026年4月2日、同年6月から乗用車やバン向けの夏タイヤの価格を平均で約5%引き上げると発表した。配送費や人件費、さらには電気・燃料代といったコストの上昇を価格に写し出す形で、2025年に続く2年連続の値上げに踏み切る。「ブルーアース」や「アドバン」といった主力製品を抱える同社だが、もはや企業努力だけでは膨らみ続ける負担をのみ込みきれないようだ。
こうした動きは、なにも横浜ゴムに限った話ではない。原材料や輸送コストの増大を受け、国内の主要メーカーは2025年に平均8%ほどの価格改定を行った。さらにピレリやコンチネンタルといった海外勢も2026年の値上げを公表しており、この上昇の流れが収まる気配は見えない。大手ブランドが世に送り出す製品には、電気自動車への対応や厳しい環境規制をクリアするための莫大な開発費が、避けては通れないコストとして重くのしかかっている。
一方で、すでに確立された技術を土台にするPBタイヤは、こうした将来に向けた重い投資を背負わずに済む。この構造的な違いが、あらゆる物価が上がる局面において、PBの割安さをいっそう際立たせている。
車を走らせる側にとって、タイヤは避けて通れない消耗品であり、その支出は生活に直結する。とりわけ街乗りが中心のユーザーであれば、背伸びをした高性能品よりも、必要十分な性能を備えつつ財布に優しい製品へと手が伸びるのは自然なことだろう。家計の負担を少しでも減らしたいという切実な思いが、かつての銘柄へのこだわりを塗り替えつつある。
PBタイヤが維持費を抑える役割を果たせば、車を持ち続ける心理的な壁も少しは低くなるはずだ。それは結果として、冷え込みかねない自動車市場全体を足元から支えることにつながるのかもしれない。