欧州PFAS規制が迫る――自動車サプライヤーに広がる“素材転換”と供給網の再編圧力【連載】自動車部品業界ウォッチ(7)
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欧州のPFAS規制を契機に、自動車部品は素材や熱管理まで見直しが迫られている。EV・HVの普及で重要性が増す冷媒や絶縁材は、代替技術の開発競争が進み、2026年の審議を前に企業の対応力が収益と競争力を左右する局面に入っている。
欧州の全面規制案と業界への影響

PFASは有機フッ素化合物の総称であり、フライパンの表面に施されるフッ素樹脂もそのひとつに含まれる。炭素とフッ素が強く結びついているため、熱や薬品に強く、水をはじくなどの性質を持つ。このため使い勝手がよく、1万種を超える物質が工業製品を中心に幅広い分野で使われてきた。一方で、その安定した性質により自然のなかでわかれにくく、生物の体や土のなかに長く残る点が懸念されている。
これまで世界では、健康や環境に害を及ぼすとされた特定の物質のみが禁止されてきた。しかし欧州で検討されている案は、これまで安全とされてきた種類も含めてすべてを使えなくする厳しい内容である。はっきりとした科学的な証拠がそろっていなくても、将来の影響を避けるために先に規制をかけるという考えが背景にある。
米国や日本では、欧州ほど踏み込んだ規制は検討されていない。もし欧州だけでこの規制が始まれば、これまで世界で共通してきた製品の仕様を地域ごとに分ける必要が生じ、開発にかかる費用が増え、収益を圧迫する要因となる。
2026年を通じて欧州で行われる審議は、世界のメーカーにとって自社の競争力を左右する重要な場面となる。とりわけ、どの用途が例外として認められるかをめぐる調整の行方は、企業の将来の利益に大きく影響する。自動車分野でも、この規制の影響は重い。一部のメーカーはすでに将来の規制を見据え、代わりとなる製品の開発を急ぎ、市場での立場を強めるための準備を進めている。