「142億円払わなければ、もう掘れません」 広島高速5号線の請求が明らかにした現場の限界、対等なリスク分担で工事は持続可能になるか?
広島高速5号線の二葉山トンネルで、大林組らが142億円超の増額請求。掘削機械故障や地質リスクが工期を圧迫し、従来契約の限界と公共工事の負担構造の歪みが浮き彫りになった。
巨額提訴が突きつけるインフラ建設の転換点

2026年3月、広島高速道路(広島高速)5号線の二葉山トンネル工事で、大林組などの共同企業体による増額請求が142億6000万円あまりに達している。施工側は2025年5月に広島高速道路公社を提訴していたが、工期のさらなる延滞にともない請求額が確定した。2018年の着工以来、掘削機械の故障などで工期が大幅に延び、人件費や現場維持費が当初の予定を超えて膨らんだことが背景にある。公社側は裁判で争う方針を示しており、2027年度の開通時期がさらに遅れる可能性もある。
広島高速は全31.1kmのうち25.0kmが供用済みだが、5号線と6号線の開通で初めて都市圏の環状道路網が完成し、利便性が本格的に発揮される。山岳地帯の多い広島では、トンネル施工の難度や周辺地盤への影響が常に大きな懸念材料となる。
142億円という請求額は、民間企業が現場で抱えられるリスクの限界を示すものであり、従来の契約形態では不測の事態に対応しきれない現状を映している。開通の遅延は、地域住民や企業が得られるはずの時間短縮などの利益を奪い続ける。今回の提訴は、責任の所在を明確にすると同時に、地質リスクにともなう対価のあり方を根本から問い直す契機となるだろう。