「142億円払わなければ、もう掘れません」 広島高速5号線の請求が明らかにした現場の限界、対等なリスク分担で工事は持続可能になるか?

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広島高速5号線の二葉山トンネルで、大林組らが142億円超の増額請求。掘削機械故障や地質リスクが工期を圧迫し、従来契約の限界と公共工事の負担構造の歪みが浮き彫りになった。

リスクの公平分担に向けた制度見直しの必要性

道路のトンネル工事(画像:写真AC)
道路のトンネル工事(画像:写真AC)

 公共工事は、発注者と受注者という固定的な役割分担の上に成り立ってきた。これまでの制度や紛争事例を踏まえると、契約のあり方を見直す時期に来ている。現行の仕組みでは、工事中に判明する地質の変化などの不確定要素への対応が困難だ。事前の予測を超える事態に際し、費用や工期の調整方法をあらかじめ定めておけば、無用な対立を避け、施工を円滑に続けられる。

 現在は、予期せぬトラブルの負担が受注者に集中する構造が常態化している。今後は、建設工事に不可避なリスクを発注者と受注者が公平に分担する体制が求められる。高速道路は人々の生活と経済を支える基盤であり、その維持には安心と安全の確保が欠かせない。

 建設企業が健全な経営を維持できなければ、インフラの質そのものが低下する。持続可能な建設体制を築くには、双方が対等な立場でリスクを管理し、状況に応じた適切な報酬を支払う関係を確立する必要がある。

 142億円の増額を求めた今回の提訴は、これまで現場が抱えてきた不透明な負担を公に整理し、適正な対価の基準を示す機会となる。こうした法的検証を経て、双方の信頼に基づく協力体制が実現すれば、日本のインフラ整備はより確かなものへと進むだろう。

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