「142億円払わなければ、もう掘れません」 広島高速5号線の請求が明らかにした現場の限界、対等なリスク分担で工事は持続可能になるか?
広島高速5号線の二葉山トンネルで、大林組らが142億円超の増額請求。掘削機械故障や地質リスクが工期を圧迫し、従来契約の限界と公共工事の負担構造の歪みが浮き彫りになった。
トンネル工事の不確実性とコスト膨張の背景

なぜ請負会社から多額の追加費用請求が出るのか――その背景には、トンネル工事特有の不確定要素がある。トンネルは地中の状況を完全には見通せず掘り進めるため、予想外の事態が次々に起こる。主な要因は地層と湧水だ。日本列島は複雑な地層で形成され、掘削に適した場所もあれば、もろく崩れやすい場所も混在する。
二葉山トンネルのように、事前調査を上回る硬い岩盤に突き当たれば、掘進機械の故障や摩耗が重なり、作業が止まる時間はそのまま巨額の損失につながる。さらに、用地回収や近隣状況に応じて施工方法や計画を変更せざるを得ない場合もある。当初の計画が立ち行かなくなれば、貫通から開通まで2~3年以上先延ばしになることも珍しくない。
現在の入札制度では、工事の難易度に応じて建設会社を募り、委託先が決定される。しかし地中のリスクを価格に正確に反映させることは難しい。工事が始まれば後戻りできず、機械の稼働停止や現場に待機する人員の維持費といった費用が膨らむ。142億円の請求は、地質情報の不足と現実との乖離が生んだ、現場の限界点を示しているのだ。