BYD「国内65%減」の衝撃――海外4割増でも届かない、EV王者が突きつけられた「選ばれる理由」
BYDの快進撃に急ブレーキがかかった。2026年2月の世界販売は前年同月比41.1%減の19万190台。海外販売が初めて国内を上回る異例の構図となった。補助金頼みの成長モデルは限界なのか。EV覇者の急減速が、中国市場の構造転換を浮き彫りにしている。
前提が変わったとき
政府の支援が消滅し、価格競争が極限まで進れば、性能を超えた選ばれる理由を確立した側が優位に立つ。これは市場における鉄則だ。一方で原材料価格の高騰などで電池の製造コストが跳ね上がれば、材料の確保から製造までを自前で完結させた供給網の安定性を持つ側が再び力を取り戻す。
生活環境や電力網との連携が必須条件となれば、車という個別の製品販売ではなく、都市の仕組みと一体になった価値を提供できるかどうかが勝敗を分ける。BYDが見せた販売台数の急落は、製品を売るだけの商売が限界に来たことを示している。ただ安い製品を揃えるのではなく、その製品が生活をどう豊かにするかという物語を具体化することが求められる。
EVはエネルギーの循環を変える存在だからこそ、活用される場面を明示し、社会全体の利便性を高める姿勢が欠かせない。まちづくりや社会基盤との連動を深める柔軟性がなければ、これからの競争を勝ち抜くことは難しい。希少性や伝統、卓越した性能を求める層は常に存在する。安さだけを武器にする手法は、文化的な価値や質の高い体験を求める世界中の需要に応えるには限界がある。社会全体の質を高める姿を示すことこそが、変革の本質となる。