BYD「国内65%減」の衝撃――海外4割増でも届かない、EV王者が突きつけられた「選ばれる理由」
BYDの快進撃に急ブレーキがかかった。2026年2月の世界販売は前年同月比41.1%減の19万190台。海外販売が初めて国内を上回る異例の構図となった。補助金頼みの成長モデルは限界なのか。EV覇者の急減速が、中国市場の構造転換を浮き彫りにしている。
ブランド価値の欠如
所有することによる満足感や物語性のなさが、移動手段以上の価値を求める層の離反を招いている。自動車は購入者の社会的立場や所有欲とも密接に関わる。安さを重視する層からは支持を得る一方で、ステータスを重んじる層にとっては有力な候補となり得ていない。コスト重視の姿勢が優先され、ブランド構築や広報活動が弱いために、生活をより良くするための道具として魅力が伝わっていない。
特に中古車としての価値を示す残価の低さは深刻だ。BYDシールの29.40%、シーライオン7の29.40%、Atto3の22.80%、ドルフィンの22.80%という数字は、車を資産と考えるユーザーにとって大きな損失を意味する。残価がこれほど低いと、月々の支払額を抑えるローンの仕組み自体が機能しなくなる。購入時の価格が安くても、売却時の損失を含めた全体の費用が高くなるため、経済的な合理性を欠く。このリセールバリューの課題は、国内販売の減速に直接的な影響を及ぼしている。
他方で、新興の中間層には車を数年で使い潰す消費財として捉える層もいる。彼らにとって中古車価格の下落は大きな問題ではなく、初期費用の安さが何より重要だ。しかし、品質への安心感が欠如している以上、新車を売れば売るほど市場に中古車が溢れ、価値がさらに下がる悪循環を食い止めることは難しい。