「光らせないのが格好いい」 750万円のクラウンでも採用、磨くと台無し「マット塗装」が量産車に広がるワケ

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マットカラーの採用が拡大し、特殊塗装市場は2024年の約18億5380万ドルから2033年には29億3807万ドルへ成長見込み。維持管理の負担を抑える技術進歩と高付加価値戦略が、メーカーの収益構造を変えつつある。

海外トレンドと国内展開

BMW M3クーペ フローズン・シルバー・エディション(画像:BMW Group)
BMW M3クーペ フローズン・シルバー・エディション(画像:BMW Group)

 マットカラーの流れは、欧州の高級車ブランドが早くから牽引してきた。メルセデス・ベンツを中心に2000年代から採用例はあったが、トレンドを本格化させたのはBMWだ。

 BMWは2011年、M3クーペの限定車「フローズン・シルバー・エディション」を30台限定で発売した。価格は1243万円で、マット塗装の魅力を広く市場に浸透させる契機となった。また、メルセデス・ベンツもGクラスでマット仕上げの「マグノ」系カラーを積極的に展開しており、2025年には全4色すべてがマットペイントの200台限定車「G63 ブラックアクセントエディション」を価格3535万円で投入している。こうした超高価格帯での展開は、特殊塗装がブランドの格を際立たせ、高い利益率を確保する有力な手段であることを示している。

 2023年9月のカラートレンド説明会では、海外市場においてマットカラーはすでに定番化しているとの見解が示された。一方、国産車にとって大きな節目となったのは2023年末だ。

 トヨタはクラウンクロスオーバーの専門店限定特別仕様車「THE LIMITED-MATTE METAL」を価格750万円で発売した。その後、2024年にはクラウンスポーツ(820万円)、2025年にはセダンのHEV版(810万円)やエステート(890万円)へと展開を拡大している。主力車種へのマットカラー投入は、日本市場でも維持管理の負担を上回る需要があると判断した結果といえる。

 かつて売却時の査定に不利とされた特殊塗装は、今や希少価値を保証し、製品の魅力を長く維持する要素へと変化しているのだ。

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