高市政権と「チームみらい」を勝たせた23%の正体――彼らは“EV購買層”へと転じるのか? 理念と生活のずれが突きつける現実

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2026年衆院選を動かした有権者の23%、最多勢力「新しいリベラル」はEV普及の救世主か。次世代投資を渇望する彼らの理念に対し、壁となるのは平均62歳の首長が守る古い都市構造だ。若手首長なら子育て予算が36%増えるデータが示す通り、電動化の成否は補助金よりも社会の世代交代という本質に懸かっている。

調査から浮かび上がった「隠れた多数派」

橋本努、金澤悠介『「新しいリベラル」――大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」』(画像:筑摩書房)
橋本努、金澤悠介『「新しいリベラル」――大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」』(画像:筑摩書房)

 7000人を対象にした社会調査で、日本の有権者は六つの集団に分けられた。従来型リベラルが18%、成長型中道が13%、政治的無関心が20%、福祉型保守が16%、市場型保守が9%。そのなかで23%と最も多いのが「新しいリベラル」だ。

 この層には、いくつかの目立った傾向がある。弱い立場への給付を広げることより、社会全体の力を伸ばす成長支援を重く見る。高齢世代に偏っていた予算を見直し、子育て世代や次の世代にお金を回すべきだと考える。戦後民主主義の論点に強くこだわるわけではないが、非核三原則や多様性の尊重については支持を崩さない。

 未来への投資を掲げ、防衛費の拡大にも理解を示す。その姿勢は、理想と現実の間で折り合いを探るものだろう。実際、彼らは高市首相が街頭で繰り返した「未来」への強い意志にも、チームみらいの安野党首が語る「仕組みごと改める」という合理的な発想にも反応した。右か左かという対立よりも、「次の世代にとって役に立つかどうか」を物事の判断基準に置いている。

 もっとも、この層の意思がそのまま政策に届くとは限らない。そこには世代間の偏りが立ちはだかる。有権者の平均年齢は約50歳だが、市町村長の平均は62歳に達している。意思決定の場は、なお高齢層に厚い。2006年から2019年の統計でも、50歳未満の首長は全体の約10%に留まっている。

 この偏りは予算の使い道にはっきり表れる。50歳未満の首長が選ばれた自治体では、子育て関連の支出が36%増えた。首長自身が子育て中であれば、児童福祉への支出は55%増えるという傾向も示されている。若い世代や子育て世代の利害は、いまの政治の形では十分にくみ取られていない。

 こうした世代のずれは、交通政策の優先順位や車の購入支援のあり方にも影を落とす。電動化が思うように進まない背景には、こうした構造的な偏りが横たわっている。

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