なぜワイパーの「ゴム交換」が減っているのか? 100億ドル市場の動向が示す「メンテナンスの将来像」
空力設計の進化が、ワイパーの構造と交換コストを変えた。世界市場は2025年に62億ドル規模、年率6%成長の見通し。一体型フラット化で性能は向上する一方、交換費は倍増傾向。小さな部品が映す消耗品ビジネスの転換点を追う。
空力設計が変えたワイパーのかたち

自動車のワイパーは、「アーム」「ブレード」「ゴム」の三つで成り立っている。動くのはアームで、その先に取り付けられたゴムがガラスに触れ、水滴や汚れをぬぐう。ゴムを面にしっかり押し当てる役目を担うのがブレードだ。
近年は燃費や電費を高めるため、車体全体で風の抵抗を減らす工夫が重ねられている。ワイパーの形も例外ではない。小さな部品だが、車の外形の一部として扱われるようになってきた。
長く主流だったのはトーナメントワイパーである。枝分かれした骨組みがガラスの曲面に沿い、ゴムを柔らかく追従させる仕組みだ。構造は分かりやすく、補修もしやすい。ただ、高速域では風を受けて浮きやすく、音が出ることもあった。
そこで広がってきたのがフラットワイパーだ。弾力のある芯材を内蔵し、高さを抑えた形でガラスに均一に当てる。外から見ると凹凸が少なく、風を受け流しやすい。部品を減らしたことで抵抗が抑えられ、電気自動車のようにエンジン音がない車でも余計な音を出しにくい。新型車で標準装備が増えた結果、この変化は交換の現場にも影響を及ぼし始めている。