なぜワイパーの「ゴム交換」が減っているのか? 100億ドル市場の動向が示す「メンテナンスの将来像」
ADAS時代における視界確保の重要性

Fortune Business Insightsによれば、世界の自動車ワイパー市場は2025年に62億5000万ドルと見込まれている。2034年には103億7000万ドルまで拡大し、年平均成長率は6.09%と予測される。緩やかだが着実な伸びだ。
日本でも状況は似ている。雨の多い気候に加え、安全への意識が強まり、性能や耐久性、作動音の静かさを重んじる声が増えた。先進運転支援システム(ADAS)の広がりも無視できない。フロントガラスの視界が乱れれば、衝突被害軽減ブレーキなどの機能に影響が及ぶ。カメラやセンサーの精度を保つうえでも、確かな拭き取りと長持ちする技術への関心は今後も続くだろう。こうした流れのなかで、製品には性能と費用のつり合いがこれまで以上に求められている。
フラットワイパーは、視界を安定して保てる点が強みだ。この性能を落とさずに耐久性を高められれば、一体型ゆえに生じる交換費用の増加はやわらぐ可能性がある。あわせて、生産の効率化で生まれたコスト低減分を価格にどう反映させるかも、メーカーにとっては避けて通れない論点である。
もっとも、利用者側の判断も欠かせない。ゴムの交換目安は6か月から1年ほどといわれるが、劣化の進み方は使う頻度や保管環境で変わる。ひびや裂けだけでなく、作動時のビビリ音、拭きムラやにじみ、スジやモヤといった変化も見逃せない。こまめな点検は安全を守るためだけでなく、まだ使える部材を無駄にしないことにもつながる。
交換間隔を長く保てるなら、ブレードごと替える選択にも理はある。頻繁に替える環境であれば、ゴムだけ交換できる型を選ぶ考え方も成り立つ。日頃から状態を見ていれば、こうした選択を現実的なものにできる。フラットワイパーの広がりは続くとみられるが、最終的に問われるのは、自らの走行環境や価値観に照らしてどの型を選ぶかだ。その積み重ねが、メーカーと利用者の双方にとって納得できる市場のかたちをつくっていく。