なぜワイパーの「ゴム交換」が減っているのか? 100億ドル市場の動向が示す「メンテナンスの将来像」
空力設計の進化が、ワイパーの構造と交換コストを変えた。世界市場は2025年に62億ドル規模、年率6%成長の見通し。一体型フラット化で性能は向上する一方、交換費は倍増傾向。小さな部品が映す消耗品ビジネスの転換点を追う。
一体化がもたらした交換スタイルの変化

ワイパーゴムとブレードは消耗品である。定期的な点検と交換が前提になる部品だ。目安としては、ゴムは6か月に1度、ブレードは1年に1度とされることが多い。従来のトーナメントワイパーは、土台となるブレードと拭き取りを担うゴムを別々に替えられた。一方、フラットワイパーは一体型が主流で、劣化すれば本体ごと取り替える形になる。
この違いが、店頭での交換の仕方を変えている。ゴムだけ差し替える場面は減り、ブレードごと新しくする例が増えた。費用も動く。ゴム単体なら1本1,000円ほどで済むが、ブレードごと替える場合は安くても2,000円程度からだ。負担はほぼ倍になる計算である。
それでもメーカーが採用を広げるのは、性能面の利点がはっきりしているからだろう。フラットワイパーは一本の芯材でゴムを均一に押さえる。複数の支点で支えるトーナメント型に比べ、力が端まで届きやすい。結果として拭きムラが出にくく、視界を保ちやすい。雨や雪の場面では、この差が安心感に直結する。
構造が簡潔になったことも見逃せない。部品が少なければ、生産の手間を抑えやすい。交換の現場でも細かな差し替え作業が減り、ブレードを付け替えるだけで済む。人手が足りない店舗にとっては助かる面がある。こうして、生産や作業の効率が上がる一方で、利用者の支出は増える。その関係が、いまの普及を後押ししている。