「診察が終わればバスが来る」――通院の“帰り難民”を救うのは結局「AI」なのか? 電子カルテと連動する自動配車の全容

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診察終了をAIが予測し、帰りのバスを自動手配――。富士通が全国30地域で培った知見を基に、徳島で1か月実証。電子カルテと配車を直結し、通院“復路”の空白と車両稼働ロスを同時に埋める医療MaaSの試金石だ。

変わる移動の価値

通院復路の自動予約DX。
通院復路の自動予約DX。

 自動車産業の枠組みにおいて、移動の価値はこれまで車両側の性能や所有の喜びに依存してきた。しかし、富士通が全国30以上の地域で実績を積み上げ、2025年11月から12月にかけて徳島で見せた取り組みは、その前提を問い直すものだ。

 移動の価値は、車両がいかに優れているかではなく、生活の節目にいかに自然に介在し、不確実性を排除できるかにある。電子カルテという機密性の高い情報を輸送システムと直結させた事実は、ITプラットフォームが「需要の源泉」を実質的に統制下に置いたことを示している。

 これは、完成車メーカーが提供するハードウェアが、巨大な情報網の一部品として扱われる未来を予見させる。利用者が一切の操作を必要とせず、受動的な態度で移動を享受するこの仕組みは、効率を追求する輸送社会の雛型といえる。

 実証実験の期間は短かったが、そこから導き出される展望は重い。今後、自動運転技術が普及する過程で、移動は個人の自由な選択から、システムによる効率的な配給へと変わっていくだろう。

 日本が突き進む「ユーザーに努力を求めないデジタル化」の道は、他国が容易に真似できない独自の文化を醸成することになる。

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