「診察が終わればバスが来る」――通院の“帰り難民”を救うのは結局「AI」なのか? 電子カルテと連動する自動配車の全容
診察終了をAIが予測し、帰りのバスを自動手配――。富士通が全国30地域で培った知見を基に、徳島で1か月実証。電子カルテと配車を直結し、通院“復路”の空白と車両稼働ロスを同時に埋める医療MaaSの試金石だ。
配車手段の主流は「電話」

診察終了の見込み時間を予測し、それに基づきオンデマンドバスを予約するこの仕組みは、利用者がスマートフォンを操作する必要を完全に排除した点に特徴がある。
日本各地のAIオンデマンド交通やライドシェアの導入において、当初、国土交通省はアプリによる配車を原則とする方針を打ち出していたが、これは多くの自治体から敬遠される結果となった。移動手段の確保を必要とする層の多くが、情報端末の高度な操作を不得手としている現実が露呈したためだ。
その結果、方針は転換され、現在ではアプリと並行して電話による配車受付が公式に認められている。この変化により、地方における配車依頼の主流は電話へと回帰している。
ここで注目すべきは、利用者側の接点は受話器というアナログな手段を維持しながら、その背後にある予約処理を電子カルテと連動したAIで完結させている点だ。有人オペレーターを介在させる配車は、人件費の増大を招き事業の継続性を圧迫するが、インターフェースをアナログに据え置いたまま処理プロセスを自動化すれば、運営側の実務負担を劇的に抑えることが可能になる。
利用者に新たな学習を求めず、運営側の利益率を高めるこの手法は、高齢化社会における交通ビジネスの存続を支えるための有力な型となっている。