自動車メーカーが次々乗り込む「アフリカ市場」 実質GDPは約20年で倍増、知られざるポテンシャルをひも解く

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現在、世界の自動車メーカーがアフリカ市場に視線を注いでいる。自動車市場が先進国のように飽和していないアフリカだが、自動車の生産拠点や台数が少ない反面、中古車市場として成長を遂げていた。

アフリカ単一市場化を目指す貿易協定

モロッコ(画像:(C)Google)
モロッコ(画像:(C)Google)

 アフリカは、大陸全体としてはポテンシャルを秘めているものの、過去におけるヨーロッパ各国の植民地政策の影響により国と地域が細かく分かれていることがネックだ。

 さらには地域別に経済共同体が乱立し、それぞれが独自に関税などのルールを設けており、アフリカ大陸全体としてのまとまりに欠けている。このため、ある特定の地域に自動車工場を設立してその地域ブロックの需要を満たすだけでは、投資する意味はないと考えられていた。

 もちろん、アフリカでも自動車は生産されている。

 2019年時点で、アフリカ全体では約70万台の自動車が生産されてきた。しかしながら、モロッコにおけるフランスルノーなどの約36万台と、南アフリカにおけるドイツのBMW、フォルクスワーゲンなどの約34万台で、そのほとんどが占められている。

 モロッコおよび南アフリカ以外で自動車を生産している国は、

・エジプト
・ウガンダ
・ガーナ
・ナイジェリア

などわずかであり、生産台数もモロッコや南アフリカには遠く及ばない。

 アフリカは自動車の生産拠点や台数が少ない反面、中古車市場として成長を遂げていた。

 欧州連合(EU)諸国は地中海経由で西アフリカ地域へ、アメリカは大西洋経由でガーナやナイジェリアへ、そして日本はインド洋経由でケニアなどの東アフリカ諸国へ中古車を輸出している。なお、モロッコ、南アフリカ、ガーナ、エジプトなど、自国の産業を育成するために中古車の輸入を制限している国もある。

 そんななか、アフリカ大陸として単一市場を創設すべく、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が2018年に設立された。2021年1月に運用を開始したものの、各国間で交渉を続けている貿易協定も残されており、本格的に運用されるには少し時間がかかる見込みである。

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