かつてのトヨタを彷彿? ベトナム初の自動車メーカー「ビンファスト」が仕掛けるアメリカ本格進出と周到な「手土産」

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ベトナム初の自動車メーカー「ビンファスト」。EV車のデメリットのひとつである高価なバッテリーを「リース方式」にして、2025年までに生産台数を現在の2倍である50万台に増加させることを目標にしている。

ベトナム初の自動車メーカー

イタリアのピニンファリーナがデザインを出掛けたビンファストの新型電動SUV(画像:VinFast)
イタリアのピニンファリーナがデザインを出掛けたビンファストの新型電動SUV(画像:VinFast)

 VinFast(ビンファスト)は、2017年に突如自動車業界に現れたベトナム初の自動車メーカーだ。ベトナムでは誰もがその名を知る国内最大コングロマリット「Vingroup JSC(ビングループ)」の傘下企業のひとつである。コングロマリットとは技術的にも、市場的にも互いに関連性のない事業の集合から形成される複合企業を指す。

 ビンファストは、創業わずか数年で東南アジアトップの大手自動車メーカーとなり、2025年までに年間生産台数50万台を目標に掲げている。

 ビングループは、フォーブスの世界富豪ランキングに10年連続でランキング入りするベトナム一の富豪・Pham Nhat Vuong(ファム ニャット ブオン)氏(現会長)が一代で築いた企業だ。

 ビングループは、不動産やホテル・リゾート開発、病院、教育、小売業、農業、スマートフォン、自動車などさまざまな分野で事業を展開し、グループだけでひとつの都市を築くことができる。

 実際に、ベトナム大都市のハノイやホーチミンには、タイムズシティやビンホームズセントラルパークといった、病院や学校、ホテル、商業施設、マンションなど、すべてがビングループで構成されたスモールシティのような町が存在する。

 ベトナムは今、過去の日本や韓国がそうだったように、国を挙げて自動車産業に力を入れている。一般的に、ひとり当たりの国内総生産(GDP)が3000ドルを超えると自家用車を購入できる経済状態になると言われているが、現在のベトナムのひとり当たりの名目GDPは約2700ドルだ。

 まだベトナムはバイク社会だが、数年後にはひとり当たりのGDPが3000ドルを超えて、晴れて車社会を迎えることが予想されている。そんなベトナムのさらなる経済発展のために、国を挙げて自動車産業への支援を強化する中で誕生したのが、今回紹介するビンファストなのだ。