「真っ白で道が見えません」 猛吹雪の高速道路で出現した“光の線”の正体――視界ゼロでも安全に走れるワケ
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冬期の高速道路では、凍結や降雪で事故リスクが最大8倍に増す。プロジェクションガイドによる路面への光投影は、視界不良下でも車両の安全走行を支え、物流網の遅延を抑える可能性を示している。
一般道への応用可能性

高速道路での事故防止に効果を示すプロジェクションマッピングは、一般道の夜間歩行者事故の抑制にも応用の可能性がある。
2024年3月、国土交通省四国地方研究会が発表した「夜間歩行者事故対策に関する技術検討報告」では、松山中央公園で行われた実証実験の結果が示された。歩行者が存在しない横断歩道で、照明や投影がない場合のブレーキ作動率は4%にとどまったが、スポットライトを常時点灯させた場合は13%に上昇。プロジェクションマッピングの常時点灯では
「29%」
さらにスポットライトのセンサー点灯との組み合わせでは33%に達した。
歩行者を確認した後の挙動についても差は顕著だ。プロジェクションマッピングが常時点灯している場合、79%のドライバーが余裕を持ってブレーキをかけた。一方でスポットライトのセンサー点灯とプロジェクションマッピング常時点灯を組み合わせると、96%にまで改善した。
光による視覚的刺激で自発的な減速を促す手法は、法規制や物理的な制止に頼らずに事故を防ぐ新たな手段として機能する。事故一件あたりの損害賠償や復旧費用といった社会的損失を、情報提供によって未然に抑えられる点は都市インフラの効率的な運用に寄与する。
ただし報告書は、投影された光によって本来注視すべき歩行者や横断歩道から視線が逸れる可能性にも触れている。提供される情報が過剰に注意を奪わないよう、優先順位を最適化する仕組みの検討が求められるということだ。高度な情報提供はドライバーの判断を支えるが、状況に応じた注意の責任は個人に残る。
技術の進歩にともない、人間とインフラの関係をより精緻に調整していくことが、将来の交通環境を整えるうえで不可欠となるだろう。