「人口減なのになぜ建てる?」 巨大化を続けるターミナル駅、同質化する再開発の果てに待つ「共倒れ」の懸念

キーワード :
, , ,
主要ターミナル駅の再開発が全国で加速。人口減少や通勤形態の変化を前に、鉄道会社は駅と不動産を一体化させ、膨大な人流を収益に変える独自モデルで都市機能を再構築している。

街をつくった駅

渋谷駅(画像:写真AC)
渋谷駅(画像:写真AC)

 日本の駅で複合機能化がここまで進んだ背景を理解するには、都市の発展と公共交通の整備が、必ずしも同じ速度で進まなかった歴史を押さえる必要がある。

 明治以降、日本の主要都市は急速に膨張した。東京市の人口は明治初期には100万人に満たなかったが、大正末期には400万人を超え、昭和初期には600万人規模に達している。大阪や名古屋でも同様に、短期間で人口が数倍に増えていった。居住地は郊外へ広がり、通勤・通学という新しい移動需要が一気に見えてきた。

 一方で、公共交通の整備は常にこの成長スピードの後追いだった。明治政府の鉄道政策は東京と地方を結ぶ幹線整備を優先し、都市内部や近郊輸送は後回しにされた。1906(明治39)年の鉄道国有法が対象としたのも長距離幹線が中心である。当時の国家財政は軍事費や債務返済の比重が大きく、都市交通まで一体的に担う余力はなかった。

 こうして都市の拡張と輸送網の間に生じた隙間に入ったのが、民間私鉄だった。私鉄各社は都市近郊へ路線を延ばして都市生活を支えたが、運賃を自由に設定できない制約があり、鉄道事業のみで収益を安定させることは難しかった。

 そのため各社は、鉄道の敷設によって上がった沿線の土地価値を、自らの不動産開発や商業活動を通じて回収し、事業全体の採算を合わせる仕組みを作り上げた。鉄道を軸に住宅や娯楽を一体的に提供し、自ら需要を生み出す手法が、日本の都市開発の原型となったのである。

全てのコメントを見る